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最高裁判所第二小法廷 昭和53年(オ)327号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人前波実の上告理由第一点について

本件記録にあらわれた弁論の全趣旨によれば、被上告人は、主位的請求について、所論解除の主張をしたものと解することができないわけではなく、また、裁判所は、法律行為の法律上の性質を判断するにあたり、訴訟当事者の意見に拘束されるものではない。それゆえ、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同第二点について

請負契約が民法六四二条一項の規定により解除された場合には、請負人は、すでにした仕事の報酬及びこれに包含されない費用につき、破産財団の配当に加入することができるのであるが、その反面として、すでにされた仕事の結果は破産財団に帰属するものと解するのが、相当である。これと同趣旨の原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗本一夫 裁判官 吉田 豊 裁判官 本林 譲)

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